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SNSに他人の子を無断でのせる親たち。運動会の写真から個人情報が…
ITジャーナリストの久原健司です。
今年も運動会の季節がやってきました。運動会の写真を撮るうえで、忘れてはいけないのがSNSのリスクです。普段当たり前のようにしているスマホでの撮影で、他人の子どもが写っていた場合もありますよね? その写真をSNSにあげる際、親御さんに了承を得ているでしょうか?
運動会の写真を勝手にSNSにアップする親たち
運動会でわが子の活躍を写真や動画に収めようと親が必死になる――私にも娘がいるので、その気持ちは十二分に理解できます。しかし、他人の子どもまでSNSに無断であげるという行為はいただけません。
総務省が出している「インターネット利用におけるトラブル事例等に関する調査研究」においても、近年、子どもたちに関するSNSトラブルが多く掲載されています。
その中にも記載されていますが、SNSなどへの投稿内容から個人が特定され、付きまといを受けるようになったとの事例があげられています。
最近の小学校では、名札を付けて登下校させないなどの対策を行い、子どもたちの個人情報が漏れないように様々な手を尽くしてくれています。そんな中、自身の子どものみでなく、他人のお子さんまでSNSに掲載してしまう行為は、多くの危険を引き起こす可能性があることを十分に理解する必要があります。
子どもの写真を勝手にSNSにあげられると…
スマホに掲載されているカメラは、指紋さえわかる高画質のものが多く、背景に写る看板などから場所が特定される危険性があります。ましてや運動会の写真であれば、SNSに投稿されたコメントなどから非常に高い確率で特定できてしまうため、子どもの友人までもが危険にさらされることになってしまうのです。
個人を特定しうる情報の写り込みから、Googleマップを利用して場所を特定されることはもちろんのこと、スマホやデジタル一眼レフなどで撮影された写真や映像にはExif情報(※)が含まれています。
(※)撮影に使用したデジカメやスマホなどの機種、撮影時の設定、GPSの位置情報などが確認できる情報
特にこのExif情報の中にある「GPS情報」には、写真を撮った時の緯度・経度情報が記録されます。設定で記録させないようにすることも可能ですが、デフォルトの設定では一般的に記憶されるようになっていますので気を付けてください。
TwitterやFacebookなど大手SNSでは画像のExif情報は自動で消してくれるようになっていますが、個人サイトやブログなどはExif情報が削除されていない可能性があると認識し注意した方がいいでしょう。
SNSの無断掲載は、対策のしようがない?
それでは、子どもの写真をSNSへ勝手に掲載される状況を、どうしたら予防できるのでしょうか? 私が考えるに、正直こうしたら良いという予防法はなく、結局は個人のネットリテラシーの問題なのだと思います。
しかし、考えてみてください。例えば、運動会という行事には、違う学年の親もいますし、親族や友達、さらには近くの住民も見学に来ます。そんな中、誰かがSNSに掲載をしてしまったら対処のしようがないのも現実です。
SNSの発達でとても便利になった一方、写真を掲載することの危険性を、今一度立ち止まって考えることが大切だと思います。
出会い系サイト規制法改正(平成20年)に伴い、出会い系サイトに起因する犯罪被害児童は年々減少しており、平成28年度の被害は過去最少でした。しかし、その反面SNSによる被害児童が急増しているのが現状です。統計的に半分以上が高校生ですが、親がしっかりとSNSの危険性を知ること、それを子どもたちに教育することで予防できることも多くあるのです。
<文/久原健司>
【久原健司】
1978年生まれ。ITの人材派遣会社やソフトウェア開発会社を経て、2007年に株式会社プロイノベーションを設立。現在は、一般社団法人日本情報技術振興協会(JAPRO)認定講師として企業研修を行ったり、日本一背の高いITジャーナリストとしてwebメディアでも活躍している。