【日刊SPA!】に掲載されました。
2018/11/19

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格安スマホのデメリットは?安さだけで乗り換えるのは危険

ITジャーナリストの久原健司です。

 最近、携帯電話の料金引き下げについて話題になることが多いですね。現在3大キャリアでは2~3ギガの通信料として月4000円程度かかり、値段の高さに不満を感じている人も多いかと思います。しかし、格安スマホの場合は1500円程度でサービス提供されているところもあり、近年大手キャリアから乗り換えるユーザーが多くなっています。

 ではこの格安スマホ、一体どのような仕組みで料金を引き下げているのでしょうか?詳しい人には「今さら」ですが、実は知らない人が意外といる“格安なワケ”を解説しましょう。

格安スマホはなぜ安い?

 一般に「格安スマホ」と呼ばれる中には、
①MVMO(IIJmio、楽天モバイル、LINEモバイル、mineoなどなど)
②大手キャリアグループのサブブランド(ソフトバンク系のY!mobile、au系のUQ mobileの2つ)
という2種類があります。

 まず、格安スマホのほとんどを占める①MVMOについて。
 MVMO(Mobile Virtual Network Operator)とは、「他社の携帯電話回線の一部を借りて、リーズナブルな料金で提供する業者」を指します。

 なぜ他社の携帯電話回線の一部を借りると安くなるかというと、経営にかかるコストの少なさが影響しています。MVMOは自分で通信回線を持たないので、アンテナや基地局を作るなど膨大なコストがかかりません。また店舗も、3大キャリアと比べると非常に少ない(または、ない)ので店舗費用や人件費が大幅に圧縮されます。その分利用料金が安いわけです。

 さらに、端末価格も安いものが多く、その点も月々の支払い額が安くなる理由です。高性能のものでも5万円程度で購入でき、1万円や2万円の端末も数多くあります。しかし安いなりに弊害もあり、3大キャリアであればある程度されている初期設定が、格安スマホは自身で行わなければいけないケースもあります。

格安スマホ最大のデメリットは「遅さ」

 安さに惹かれて格安スマホに乗り換えた利用者の中で最もクレームが多いのが、「通信速度が遅い」ことです。なぜ3大キャリアの回線を借りているのに通信速度が遅いのか? 実は、借りている回線の本数をギリギリに抑えているからなのです。

 道路と車の関係に例えると、3大キャリアは道路が10車線あるのに対して、MVMOは2車線しかないという状況です。もし同じ数のユーザーが通信した場合、どちらが渋滞せずにスムーズに進むかは一目瞭然ですよね。

 だったら、もっと回線を借りればいいのでは?と思いますよね。しかし、3大キャリアから借りる回線の接続料が非常に高く、増やせば増やすほど、結果的にユーザーの料金に響いてくるのです。先日も、格安スマホの会社が総務省に携帯大手に支払う接続料の値下げを要望したと話題になっていました。(総務省「接続料の算定に関する研究会」第二次報告書より)。

 この接続料問題が解決すると、「通信速度が遅い」というデメリットが解消される可能性が高いですね。

Y!mobile、UQ mobileは速いのか?

 一方で、②大手キャリアグループのサブブランドはどうでしょうか?

 Y!mobileは自前の通信回線とソフトバンクの回線を使用。UQ mobileはauの回線を借りているので一種のMVMOですが、グループ会社だから有利に借りているのでは?と総務省にやり玉に挙げられたこともあります。

<※編集部補足:結局、格安スマホは3大キャリアと比べてどのぐらい遅いのか。速度は時間帯や送信・受信によっても違うが、様々なメディア・機関の速度調査で平均値を見たところ…

・UQ mobile、Y!mobileは、キャリアより1割ほど遅い。キャリアより速い時間帯も。
・その他の格安スマホ(MVMO)は、キャリアの半分~3分の1ほどの速度

という傾向だった>

格安スマホで通信速度が遅くなった時の対処法

 ただ、この問題もいつ解決するのかわかりません。そこで、通信が遅くなった際に取るべき方法をお伝えします。

 まずは、やはりポケットWi-Fiを持つことですね。会社によっては、「格安スマホ+ポケットWi-Fi」のお得なプランもあるので、購入時に相談してみると良いでしょう。もし、ポケットWi-Fiを持つのがもったいないと考える場合は、公共のフリーWi-Fiが提供されている場所を把握しておくといいでしょう。公共のWi-Fiは、キャリアの通信速度とは関係なく利用可能で、基本的に通信速度が安定しているので便利です。ただし、個人情報が漏洩してしまう可能性があることは理解しておきましょう。

格安スマホで受信しにくい時の対処法

 次に、格安スマホを使っていると、速度制限がかけられていないのにもかかわらず、何らかの原因で電波を受信しづらくなる場合があります。

 そんなときは、スマートフォンの電源やモバイル通信を一度切ってみましょう。電波を一度遮断させてから再接続をすることで、通信速度が安定することがあります。それでも通信速度が上がらないときは、場所を移動してみてください。これは人口密集エリアでは特に効果的な方法です。場所を移動して通信の管轄基地局を変えることで、改善することがあるのです。

 最後に、通信速度を測定できるアプリを入れておくとよいでしょう。通信速度が遅くなった原因がキャリアにあるのか、自分のスマートフォンにあるのかを見極めることができます。

 今回は格安スマホのメリット・デメリットをお話しました。料金を安くしたいけど、通信速度が遅いのは嫌だと感じた方は、一度携帯ショップに相談してみるのもいいかと思います。

 国内MVMOの市場推移として大幅な増加が見込まれる中、3大キャリアも指をくわえて状況を見ているわけではありません。それぞれのキャリアで、新たな料金プランが発表されていますので、自分の生活にあったスマホプランを探してみてください。<文/久原健司>

https://nikkan-spa.jp/1524073

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