【日刊SPA!】に掲載されました。
iPhoneと比べてみて…Googleスマホ「Pixel 3」は買う価値アリ?
ITジャーナリストの久原健司です。
2018年11月、ついにGoogle製のAndroidスマホ「Pixel 3」が日本でも発売になり、テレビでバンバンCMが流れていますね。多くの方は、他のスマホとどう違うのか、特にiPhoneとの違いを知りたいと思っているのではないでしょうか?
そこで今回は、Pixel 3とiPhoneを比較した上で、買うべきスマホかどうかを検証していきたいと思います。
iPhoneXS より Pixel 3 は少し安いが…
まず、PixelとはGoogle社が開発し、2016年10月20日に販売したスマートフォンです。しかし、日本ではこれまで販売されておらず、アメリカやイギリス、オーストラリアといった英語圏をメインに、インドやドイツなどでも販売されてきました。Pixelシリーズの前世代に当たるNexusシリーズは日本でも発売されていましたが、2016年にPixelシリーズへと移行して以来、国内発売は行なわれていません。
しかも、日本での技術基準適合証明取得がなされていない関係で、最新バージョンのAndroidが動作する端末が入手しづらい状況が続いていたようです。
Pixel 3とiPhone XSを比べてみると、サイズや重量感はiPhone XSの方が多少大きいものの、たいした差はありません。また、解像度や防水防塵性能も表記の違いはありますがほぼ変わりません。値段もiPhoneほどではありませんが、そこそこお高いです(Pixel 3のSIMフリー最安モデル5.5インチ・64GBが税込9万5000円。iPhone XSのSIMフリー最安モデル5.8インチ・64GBが税込12万1824円)
iphone pixel3 比較
一番の違いはカメラ機能
ではどこが違うのかというと「カメラ機能」です。暗い場所で写真を撮ることやインカメラで自撮りをする機会の多いユーザーにとっては、Pixel 3が良いのかなと感じました。
まず目を引くのが「夜景モード」です。コンピュテーショナルフォトグラフィーという技術が使われており、これは光学によって被写体の像を得るのではなく、デジタル処理によって画像を生成することを前提としたイメージング技術です。
普通は、写真を撮った後にアプリやフォトショップを使い綺麗にデジタル加工をしますよね。しかしpixel 3には一歩先を行く技術が使われており、なんと撮影後にピントを合わせ直したり、ブレやボケを画像から取り除いたりすることができるのです。
また、インカメラで撮影する際に、なかなか上手に全体が入りきらず、思い通りの写真が取れない…なんて経験はありませんか? しかし、Pixel 3には最大で184%広く写る、広角カメラが搭載されているため、自撮り棒などを使わなくても、比較的しっかり収まりつく写真が撮影できます。
ただ、この点以外では、正直iPhoneユーザーが乗り換えるほどの差もインパクトもないように感じました。
それでは、結局のところPixel 3は買うべきなのか? 私の考えとしては、現在はまだ購入するのにはちょっと早いと感じています。
初期不良とは言いませんが、製品が出たばかりの場合はソフトウェア等が安定しないため、メモリ管理不具合でバックグラウンドのアプリが落ちるとか、バッテリーの発熱によって電源が落ちたり、スピーカーの音が割れたりする等、ユーザーの期待を裏切る結果に対して企業側が対応している状況が多く見受けられます。
ただ、世界的に注目されているスマホであることには変わりありませんし、ハードウェアでの比較が難しくなってきたご時世で、AIの分野に目を向けるなど、ソフトウェアでの先進的な試みを多く行ったことを考慮すると、今後のスマホ業界でシェアを取ってくる可能性は十分にあると考えます。今は買わないけれど、今後購入の際には一度検討してみる機種のラインナップに入ることは間違いないです。
最近は、格安スマホのバリエーションも豊富になり、スマホの選択肢が非常に増えてきています。値段や機能もそうですが、自身にとって一番使いやすいものを選ぶことが最も重要だと思います。無理に高額なスマホを買わなくとも、電話の機能だけしか使わない方であれば、ガラケーを選ぶことだってありだと思いますよ。
久原健司
1978年生まれ。ITの人材派遣会社やソフトウェア開発会社を経て、2007年に株式会社プロイノベーションを設立。現在は、一般社団法人日本情報技術振興協会(JAPRO)認定講師として企業研修を行ったり、、日本一背の高いITジャーナリストとしてwebメディアでも活躍している。