『伝える言葉ひとつで社員の成長は大きく変わる』
プロイノベーション代表の久原健司です。
今回は、「伝える言葉ひとつで社員の成長は大きく変わる」ということを
私が新入社員にテスターの仕事をお願いしたときの話を例に、お話させていただきます。
テスターは、システムにおけるテスト項目を実施し、バグがあれば報告する業務を専門とする役割です。
テストには単体テストや結合テスト、総合テストといった段階で、テストエンジニアが作成したテスト項目書をもとに、テストを実行していきます。
主な成果は“バグをなくすこと”です。
システム規模が大きければ大きいほど、多数の項目を検証しなければならなくなりますし、途中でバグがあった場合には”再現性“を正確にトレースしなければなりません。
バグの改修が終われば、もう一度テストを行います。
非常に根気が必要な作業ですが、製品として通用する品質まで仕上げるには絶対に必要な工程となります。
システムを製品としてリリースする最後の砦とでも言うべき存在ですね。
そんなテスターの仕事は、一般的には入社して間もないエンジニアに依頼される仕事とされています。
しかし、テストばかりやらされていると「このままでは自分は成長できないのではないか?」と不安を感じ、入社時にやりたかったプログラムを組む仕事を早くしたいと思うようになってきます。
そうならないために、上司や先輩がよく使われる言葉が2つあります。
①「テストの目的はバグを見つけることではあるが、それは仕事の範囲ということであり、この作業をすることで学ぶべき重要なことは、仕様書を正しく読めるようにすること」
②「仕様書を書くことになった場合、プログラマー10人全員が同じプログラミングを行えるような仕様書を書けるようになること」
です。
もちろん、この言葉だけでもプログラムを組む役割に至る前に、テスターを経験する必要性はしっかりと伝わると思います。
しかし私は、もうひとつ言葉を付け加えるようにしています。
その言葉は
「要件や仕様書通りにシステムを作るということは当たり前のこと。実際に使う人の気持ちになって、便利ではなく使いやすいシステムを構築しなければならない」
です。
どれだけ高度なシステムやデザイン性の高いシステムを作ったとしても、使うのは依頼してきたお客様です。
お客様がストレスなく使えるシステムを作るのが、私たちシステム開発をする会社の使命です。
そのための最後の砦として、テスターという役割が存在し
テスターがストレスなくシステムを使えるかどうかよって、システムの良し悪しが大きく変わるということです。
そのことを肝に銘じながら、テスターという仕事をしてほしいという意味を込めて、この言葉を使っています。
私は、新入社員の彼にも、このことを伝えテスターの仕事をしてもらいました。
結果は、仕様書に記載のないバグをいくつも発見しました。
彼にどんな気持ちで作業をしたのか聞いてみると
「単純に仕様書を読むだけでなく、使い手の気持ちになり、今できあがっている画面で操作できるところを全て触ってみたら、何となく違和感があったのでもしかしたらと思い、報告してみました。」
という答えが返ってきました。
「この仕事やっといて!」という言葉だけで仕事をお願いしている人も少なくないと思います。
仕事をお願いする際に伝える言葉ひとつで、社員の成長は大きく変わってくるということを覚えておいてください。
こんな記事も読んでいます。